TOCみのおについて About TOC MINOH

TOCみのおについて

2016年度厚生労働科学研究田村班中間報告4)によると,医療的ケア児の数は2005年から2015年で約2倍に増加し,今後もさらに増加していくことが予想されています。そういった背景の中で,障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律及び児童福祉法の一部を改正する法律(2016年法律第65号)が発効されました。その文中(第56条の6第2項関係)で,「地方公共団体は,人工呼吸器を装着している障害児その他の日常生活を営むために医療を要する状態にある障害児が,その心身の状況に応じた適切な保健,医療,福祉その他の各関連分野の支援を行う機関との連絡調整を行うための体制の整備に関し,必要な措置を講ずるように努めなければならない」と明記され,医療的ケア児に対する各種支援の連携についての項目にフォーカスが当たりました。一方で,現時点では,医療的ケアが必要なこどもやその家族を支援する各関連分野の連携体制の整備が不十分であること,医療・福祉における必要十分なサービスを受けることのできる定義や条件が不明確であることも事実です。

様々な地域において医療,福祉,教育をつなぐ仕組みが圧倒的に不足しているという現状を地域発信で打破すべく,多職種が自発的に集う場を構築することにより,地域ネットワークを活性化することを目的として,筆者らはCLASS(Children’s Local Across-the-board Support SEminar;医療的ケア児を地域で支える多職種勉強会)を設立しました(図3)。この「CLASS」は単なる略称というだけではなく,「地域で暮らす」,「学校の教室(クラス)」などの意味も含ませており,筆者が頭を悩ませて絞り出した,個人的にはとても愛着を感じる名称となっています。

CLASSは2017年8月に,小児科医師,歯科医師,看護師,臨床心理士の4名をCo-founderとして設立しました。主な活動内容は,定期的に開催する勉強会です。この勉強会を通して,医療的ケア児に関する様々な視点からの情報提供を行うだけでなく,参加者どうしの意見交換,顔の見える関係作りを強く意識して実践しています。CLASS参加者の職種内訳は,医師(病院,診療所),歯科医師,看護師(大学,病院,診療所,訪問看護ステーション,重症児デイサービス),助産師,歯科衛生士,管理栄養士,臨床心理士,保健師,介護福祉士,ソーシャルワーカー,大学院生など,多岐にわたり,多分野の方々と医療的ケア児について語ることのできる貴重な場となっています。筆者の活動拠点は大阪府北部であることから,「北大阪でCLASS」と題した研修会をこれまでに計4回開催しました。各研修会の様子は写真2に示します。会を重ねるごとに,参加者数や参加職種が増加しており,医療的ケア児の支援に興味を持つ人材が地域に多く存在するという事実を肌で体感しています。筆者はこれまでに「広島でCLASS」,「北海道でCLASS」,「愛知でCLASS」のように,他の地域においても研修会を開催しており,今後様々な地域のニーズに合わせてCLASSのネットワークが広がっていけば幸いです。

医療的ケア児を取り巻く社会制度は変わりつつあるものの,制度改革の恩恵を現場が享受できるにはまだ時間がかかる可能性があります。だからこそ,今現場に求められているのは,地域における小児包括支援体制の構築なのだと思います。今後もCLASSを通して,医療的ケア児を支える地域のチーム作りのノウハウを蓄積していきたいと考えています。

小児在宅訪問管理栄養士の養成プログラム(CLASS内連携の実践)

小児在宅医療において食支援を実践していると,管理栄養士の必要性を強く実感します。一方で,現状では小児在宅医療に特化した訪問栄養士は稀少であり,多くの管理栄養士が小児在宅ケアについて学ぶ機会を作らなければならないことが報告されています5)。これからの時代には,小児在宅訪問管理栄養士のニーズがますます高まることは明らかです。その時代の変化に対応すべく,当センターでは2018年7月より,常勤の管理栄養士を雇用し,新たな活動を開始しました。それが「小児在宅訪問管理栄養士の養成プログラム」です。この管理栄養士は,CLASSに参加したことが契機となり,この度の入職につながりました。小児在宅医療における幅広いニーズに対応できる管理栄養士に育成できるよう,歯科医院勤務だけでなく,CLASS内連携を活用して,訪問看護ステーション勤務や重症児デイサービス勤務などを実践し,こどもの生活に寄り添った栄養指導が行えるようにしています。この活動についてもさらに進展させていき,また何らかの機会に報告したいと思います。

ご紹介したように,小児在宅医療現場において多職種連携や情報共有を円滑にすることにより,医療的ケア児にかかわる医療,福祉,教育の人材育成も推進したいと考えています。

こどもや家族を取り巻く状況は,目まぐるしく変化していきます。そのため,その変化への対応にはスピード感が求められることも少なくありません。Medical Care Station(MCS)などのクラウド型情報共有システム,FacebookなどのSNSなどを適切に活用しつつ,柔軟に対応できれば,地域内ネットワーク,地域間ネットワークは強固になっていくことは明白です。今後も地域発信で様々なアクションを起こしていきたいと思います。

こどもと家族の「いのち」の輝きをサポートする。これが筆者のミッションです。地域の一員として,歯科医院として,歯科医師として,ひとりの人間として,できることを模索しつつ,小児在宅医療,小児地域包括ケアを発展させていくためのインフルエンサーとなれるよう,今後も真摯に活動を継続していく所存です。1年間(計6回)にわたる連載をご購読くださり,ありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。

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私たちの役割

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松野 頌平
センター長director of the center
日本老年歯科医学会認定医 / 日本摂食嚥下リハビリテーション学会認定士 / 日本障害者歯科学会会員 / 日本重症心身障害学会会員 / 神戸医療福祉専門学校非常勤講師 / 姫路医療福祉専門学校非常勤講師 / 箕面支援学校協力歯科医師 / 医療的ケア児を地域で支える多職種勉強会 /(CLASS)Co-Founder /広島ひまわり歯科非常勤講師